文藝・学術出版鳥影社

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書評
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『親からのDNAで人生は決まるのか?』小林 一久 著
北大医学部同窓会新聞 平成23年(2011年)6月23日

 

『天井桟敷の父へ』香山 マリエ 著
新潟日報 にいがたの一冊 平成23年(2011年)6月5日

自己の弱さに向き合う人生 評者・大倉 宏(美術評論家)

 

『ぱちもん』多門 昭 著
陸奥新報 平成23年(2011年)2月5日

味わい深い小説集 評者・藤田 晴央

 

『風景』山口 馨 著
北日本新聞 平成22年(2010年)12月4日

人間描写し微かな光 杉田欣次(文芸同人誌『渤海』編集委員)

 

『晩節の宝石箱』中尾 實信 著
週刊読書人 平成22年(2010年)11月12日号

真の老人医療と向き合う
読者の心をひきつける温かなまなざし 評者・伊藤玄二郎(関東学院大学教授、かまくら春秋社代表)

 

『風景』山口 馨 著
富山新聞 平成22年(2010年)10月20日

短篇集「風景」発行 富山の山口さん

『ドイツ詩を読む愉しみ』森泉 朋子 編訳
図書新聞 平成22年(2010年)10月13日

文学の核心とも言える詩の世界に、ドイツ語を学んだことのない読者を導く試み
原語のイメージを再構築した和訳と、簡潔で心のこもったコメントが光る 評者・富田 裕(ドイツ文学研究者)

 

『季刊文科49』
週刊読書人 平成22年(2010年)9月3日

風来

 

『裸身』宇佐美 宏子 著
朝日新聞夕刊 平成22年(2010年)8月26日

官能と差別、リアルに 評者・清水 良典(文芸評論家)

 

『星からの風』青木 健 著
朝日新聞夕刊 平成22年(2010年)8月26日

評者・清水 良典(文芸評論家)

 

『極楽鳥の愁い』松本 道介 著
週刊読書人 平成22年(2010年)7月9日

大言壮語への自然な反発「憑りつかれた人間」についての批評 評者・菊田 均(文芸評論家)

 

『井真成、長安に死す』岩下 壽之 著
サンデー毎日 平成22年(2010年)4月4日号

サンデーらいぶらりぃ 読みどき旬どき

『放浪のユダヤ人とエッセイ二篇』ヨーゼフ・ロート 著 平田達治 訳
週刊朝日 平成21年(2009年)8月7日号

話題の新刊 評者・姜 信子

『グリムにおける魔女とユダヤ人─メルヒェン・伝説・神話』奈倉洋子 著
こどもとしょかん 平成21年(2009年)夏号

資料室の本

『みどりのシャワー』久保田昭三 著
望星 平成21年(2009年)2月号

新刊紹介

『浦賀与力 中島三郎助伝』木村紀八郎 著
産経新聞 書評倶楽部 平成20年(2008年)11月21日

武士道に殉じた姿を称賛 評者・中島誠之助(古美術鑑定家・エッセイスト)

『千道安』斎藤史子 著
奈良新聞 平成20年(2008年)9月21日

娘の目通し波乱の人生語る 評者・嘉瀬井整夫(文芸評論家)

 とにかく冗舌体で、次から次へと言葉がつながっていく。父・千利休の子として生まれた千道安(せんの・どうあん)。茶道の家に生まれたしがらみと宿命の中で悶々(もんもん)と悩む。その姿を、娘の目を通して見事に描く。
 登場人物も多彩で、信長・秀吉はもとより、紹鴎・宗湛らの茶人をはじめ、長宗我部元親、三好長慶などの戦国武将が見え隠れする。戦乱の世に、いかに生きおおせるかは各人の実力と運が働くことは言うまでもないが、そんな中にあって、茶人たちも同じこと、生き延びることは必定であった。
 だが、父・利休の自刃は何もかもを狂わせ、後々までも尾を引くことになる。それにしても、秀吉の権勢をほしいままにする態度は全く許しがたいが、子の道安にとっても、父の死はいかにも無念であった。
 ここでは、運命に翻弄(ほんろう)される道安の苦悩は、痛いほど分かるが、しょせん運命に逆らうことはできぬ。編中、ほっとするところは、出奔(しゅっぽん)していた道安が、ひょっこりと帰ってくるところである。それも帰路の途中で茶碗を買ってくるところは、全く救われる気がするから不思議だ。
 茶碗は、茶人にとって命であろう。道安は道具屋が持ってきた一つの茶碗に見入ってしまう。すると、道具屋は「さすがに、お目が高い」というが、やはり茶人には、いいものが一目で分かるのである。
 ところで、本作品は茶人を描きつつ、戦国の世を余さずにとらえ、歴史絵巻の風情を添えていることはいうまでもないが、語り手としての娘の犀利(さいり)な眼が、全体のリード役として優れていることは、特筆すべきであろう。
 ともあれ、茶道を語り、歴史を語りながら政治の複雑な裏側にまで立ち入るなど、単調さを避けるために意外な工夫が施されていることも看取できよう。そして、読んでいて、うっかり見過ごしてしまう巧みなナレーションに感心した。茶の道はまた人の道でもある。

『イタリア映画史入門1905─2003』ジャン・ピエロ・ブルネッタ 著 川本英明 訳
産経新聞 平成20年(2008年)9月14日

 

『否定詩学』尾張充典 著
奈良新聞 平成20年(2008年)8月17日

カフカ作品再認識の道導く 評者・嘉瀬井整夫(文芸評論家)

 フランツ・カフカの名を聞いてからすでに久しい。だがカフカについて、あるいはカフカの作品についていかほどのことを知っているだろうか。本書ではそうした疑問に対し、新しい角度から解明した事柄を語りかけてくれる。
 しかし、それらは決して容易ではなく、むしろ難解でさえある。けれども、述べられた言々句々を丹念にたどっていくところに読者としての義務があるのであろう。それは巻かれた時計のねじを解きほぐしていくように、少しずつ理解していく以外に方法はあるまい。
 ところで、カフカは一風変わった創作態度をとっていた。すなわち「カフカは、日記や手紙で、繰り返し自分の著作活動に言及し、様々なメタファーを用いて自分の創作の原理をそのつど打ち立てていた」とするのがそれであるが、ほかにも「カフカの創作行為を語る際、妊娠の比喩(ひゆ)には注意が必要である。というのも、彼の作家としての基盤を形勢した物語『判決』の成立の際にも、出産のメタファーが用いられていたからだ」と述べられている。
 このように、作品内容はもちろんであるが、この創作行為においては、ユニークな考えを持っていたことは、いま触れた通りである。さらに、「このように彼の書く行為は、射精、懐胎、出産と、両性の三つの行為が重なった生殖行為と把握される」とし「それを、挿入と受胎を経て出産へと至る文学の両性具有的な融合と見ることもできるかもしれない」と指摘されている。

『千道安』斎藤史子 著
河北新報 平成20年(2008年)7月28日

茶の湯の精神性丹念に

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