HOME>ハイネを現代の視点から読む —断章・幻想破壊・食・女性 
 
	
	
         
		 
				 
- 価格 2420円(税込)
- ページ数 380ページ
- 発行日 2018年12月13日
- ISBN 978-4-86265-706-0
 
 
 
     
   
    
	         
	           ハイネを現代の視点から読む
—断章・幻想破壊・食・女性
		       奈倉洋子
		  
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          ハイネの眼差しは、常に自らが生きている時代の人々や事象に向けられ、現代という時代をとらえ、それと対峙していた。Ⅰ章の「ハイネ的ロマン主義」では、自らの恋の経験を客体化し、男女の関係を見据え、現代人の恋愛関係をさりげない形で詩にし、民衆的な文学形式を積極的に取り入れ、民衆とコミュニケーションをとろうとした姿勢、Ⅱ章では、従来のような調和的に完結した文学世界は、自分が生きている時代には合わないと考え、文章の書き方そのものを時代に見合ったものにしようと、Fragment形式を自分なりのものにし、開かれた文章スタイルを打ち立てたこと、Ⅲ章の「諷刺の手法」では、あたかも二十一世紀の現在に切り込んでいるかのようなアクチュアルな諷刺詩を書いたこと、Ⅴ章の「ハイネにおける食」では、深遠で高尚な哲学的思索的文学世界を誇る近代ドイツ文学に、日常世界そのものである食を持ち込んだことなどである。Ⅳ章のサロンの問題、またⅥ章の「ハイネと女性たち」によって、理想の女性(像)と本能的嗜好との乖離に見られるようなアンビヴァレントな傾向に焦点を当てる。
 これらのことから見えてくるのは、人種、階級、国境など、いろいろな壁を乗り越え、閉ざされていた扉を開け放ち、さまざまなものを受け入れ、取り込みつつ、発信しようとした開かれた態度である。
 
         
			 著者略歴
			 
               - 
				奈倉洋子(なぐら・ようこ)
 早稲田大学大学院博士課程修了。
 京都教育大学名誉教授。
 専門は、ドイツ文学・文化、比較文学・文化。
 主要著書:
 『ドイツの民衆文化 ベンケルザング』(彩流社、1996年)
 『日本の近代化とグリム童話』(世界思想社、2005年)
 『グリムにおける魔女とユダヤ人─メルヒェン・伝説・神話』(鳥影社、2008年)
 『ハイネとその時代』(共著、朝日出版社、1977年)
 
 
   
 
	
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