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はやしたかし童話大賞
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はやしたかし童話大賞は第7回をもって終了しております。

*選考委員 はやしたかし

<はやしたかし>
ベストセラー「銀河鉄道999」「サイボーグ009」(ノベライズ版)、
ロングセラー「エジソン」「ロビンソン・クルーソー」(ともに集英社刊)ほか数多くの
著書、テレビ・ラジオのドラマなどがある。

第七回はやしたかし童話大賞結果(12年 12月締切)

はやしたかし童話大賞受賞作品
大賞「超人類になってしまった妹」(静眞由美)(群馬県)*本年度中に単行本として出版されます。
はやしたかし童話大賞佳作(3編)
  「ジェニフ・コフディのあったかクリスマス」(大川内聖二)
  「かっぱのそうりだいじん」(仲井英之)
  「でこぼこ道」(万乃華れん) 

【講評】
多くの作者が読者に語りかけてくる。要はその質とプロセス。今回の応募作の中にも、質の良いもの、プロセスの巧みな秀作が数多くあった。特に大賞受賞作はその質においてダントツで新鮮。プロセスにも天性のうまさが光った知人の一人は近い将来人間界にもこんな事件が起こり得ると私は一人でも多くの人にこの作品を読んでほしいができれば映像化して広く世に問いたい。
はやしたかし

皆様の今後のさらなるご活躍をお祈り申し上げます。
はやしたかし童話大賞事務局

第五回はやしたかし童話大賞結果(10年 12月締切)

はやしたかし童話大賞受賞作品
大賞「総理になった少年」(川崎清道)(千葉県)*単行本として出版されます。
はやしたかし童話大賞佳作(16作品)
  「デイライトイリュージョン」(田中綾乃)福岡県
  「天人探査宇宙船」(八代 穣)茨城県
  「うんこ大王とおしっこ王子」(翼ハヤテ)香川県
  「ハクチョウになった少年」(金子 隆)埼玉県
  「おこんとおきち」(中村 拓)新潟県
  「ほろ苦き少年の日」(樋口正博)福岡県
  「ハンバーグの中の命」(安藤邦緒)岐阜県
  「クーといた冬」(おおたに ゆき)広島県
  「精さんのタンス」(幸原みのり)東京都
  「宇宙の友だち」(阿部光彦)福島県
  「宮原くそうばあさんの感謝状 (原はずき)東京都
  「時をこえる双眼鏡」(瀬戸めぐみ)石川県
  「ごめんな じいさん」(高原悠二)新潟県
  「山田さんちのひみつのヘリコプター」(大和久恵美子)山梨県
  「ガラタの花」(笹嶋友晴)茨城県
  「ヒミツのゴムの木」(梓光一)長野県
今年度は、多くの方にチャンスをというはやし先生のご意向で佳作16編が選ばれました。
今後のさらなるご活躍をお祈り申し上げます。

第四回はやしたかし童話大賞結果(09年 12月締切)

はやしたかし童話大賞 該当作なし
はやしたかし童話大賞優秀作(5作品)
秋野竜胆「クマのハチミツ屋さん」
角倉 暁「戦いの朝に」
竜果 実「東妖伝」
長坂美由紀「僕の自転車」
雪乃 椿「物の怪のお医者さん」

【第二次選考通過作品】
竜果 実「東妖伝」
西村洋子「招かれし者」
秋野竜胆「クマのハチミツ屋さん」
山下富士子「ねじ」ほか
角倉 暁「戦いの朝に」
長坂美由紀「僕の自転車」
竹内ふさ恵「ぼくのでっかい宝物」
雪乃 椿「物の怪のお医者さん」
天久未来「太郎と小太郎」
樋口正博「ひむかみ」
(順不同)

第三回はやしたかし童話大賞結果(08年 12月締切)

はやしたかし童話大賞受賞作品
大賞 仲本真季子著 ≪たったひとつの星たち≫出版化
佳作 大道優子「とうさんの柿の木」他、大井裕己「ヤドカリ宿屋」
   鈴木洋子「森のボタン」、中里 慶「痛快の三球三振」
   藤崎正三「位は無用」ほか、有働恵子「白い顔の都人」
   安部光彦「夕焼け兄ちゃん」、中島晶子「ブリキのランドセル」
   弓納持京子「のっそりくまさん」 、布山美慕「少年と少女の手紙」
   野口みち子「風天さんと水色の犬」、田中裕喜子「魔界の蒼」
   砂地由美子「おれの家、F・F・Wなんだ」多田豊子「ホロホロ川」
   飯田一郎「ノンビ山の花手紙」 、加々井美恵子「かけだしたタンス」
   大川内聖二「月夜の案山子」、向井健二郎「命の地球」
   岩村留美子「フレアの花」、長谷川洋子「ラベンダー色のメッセージ」(順不同)

 今回の「はやしたかし童話賞」は優れた応募作がたくさんありましたが、その中でも仲本さんの≪たったひとつの星たち≫はひときわ抜きん出ていると思われました。そこで、選考者として簡単な批評をお伝えしたいと思います。

 まずこの優れた作品が、ぼくと半世紀以上も歳の離れた若い作者によって書かれたことに驚きました。
十三歳と言えば、もうじき中学二年生。実際にはもっと前にこの作品を書いたとうかがいました。小学生の仲本さんがこれを書いた。そのこと自体がひとつの驚きです。宇宙の大好きなぼくから見ても、この≪たったひとつの星たち≫は見事なSFに仕上っています。
 とりわけぼくが感銘を受けたのは次の二つの点です。

 まず、物語の展開の仕掛(しか)けがとてもおもしろい。主人公の弥生は小学六年生なんだけど、勉強には全然興味がない。授業中は絵を書くか、ほとんど居眠りばかりしているのですね。先生の話しなんか全然聞いていない。
 と、突然、キーン コーン カーン コーンと授業終了のベル。いつものようにぐっすり居眠りしていた弥生はがばっと身を起こしきょろきょろしていると、先生が「弥生! 相当な夜ふかしだな。次の時間に寝てみろ、鼻にティッシュをつめこむぞ」と言う。
 クラス中がどっと笑った。弥生ははずかしさで顔を赤らめた。
 物語では、これとほとんど同じ部分が物語の最後にも置かれている。つまり最初の部分にお話が戻るのですが、この循環方式がまずすばらしい。そして、ぼくが驚いたのは、この最後の場面、つまり弥生が居眠りからがばっと目を覚ます場面が、最初とはまるで違った風に感じられることでした。二つの同じ学校の場面の間には、弥生の夢がはさまれているわけですが、その内容があまりにも凄いので、最後の学校の見慣れたはずの学校の光景が、当たり前に思えないほど深い感じなのです。
 これは優れた小説でもあるいは映画でもそうですが、その作品に出会った後に、ありふれた身のまわりの光景が特別なものにみえたり、光り輝いて見えたりすることがありますよね。そういうのを異化効果といいますが、この物語は、そういう凄い作用を持っていると感じました。
 もうひとつ感銘を受けたのは、言葉の柔らかさと、みずみずしさでした。若い作者ですから当然と言えば当然ですが、その優れた描写力は物語の状況や登場人物の心の奥までとてもうまく描いています。仲本さんの言葉の感性はぼくには印象的でした。

 夢の内容、つまり地球に人類が住めなくなって、巨大な宇宙ステーション・ハーレン号に人類の20パーセント(それだって10億人以上!)の人々が乗って他の恒星系の惑星・ターバルに脱出するというプロット(粗筋)は、SFとしては比較的どこにでもありそうな感じがします。現に人類はその計画を実際に考え始めていますよね。火星に移住するというテラフォーミング(Terra Forming)計画もそのひとつだと思います。ただ仲本さんのお話に引きつけられるのは、言葉の柔らかさ、その奥に光る平和への願いの美しさです。それとターバル軍と闘う場面は緊迫感に富みよく書けています。
 驚いたのは、夢の中で弥生が死んでしまうことでした。そして彼女は輪廻転生(生まれ変わり)をつかさどる別次元の世界にゆき、まだ地球が存続していた頃に生まれ変わるという決意をするのでした。その時の彼女の悲しみ、自分が死んだということよりさらに大きな悲しみが、自分の記憶を失うという衝撃だったのですね。
 「記憶さえ残っているのなら……。迷うことはないのに。私の記憶。大切な人たちが生きる、私の記憶」と仲本さんは書いておられます。
 ぼくは、ここの部分に衝撃を受けたのです。記憶というのは、普通はものを覚えることだと思いますよね。勉強ができる人は記憶力が良いとか言います。でも、ここで書かれている記憶というのは、そういうものではない。古代ヨーロッパの神学者であったアウグスティヌスが「記憶は広大無辺の奥の院である」という意味のことをいいました。本当の記憶とは、人間を人間たらしめる一切を包んだ果てしない意識の広がりのことだと思うのです。仲本さんの文章からそう言うことが伝わってきます。ここに登場するトキさんという300歳近いおばあさんも素敵ですね。宮崎駿のアニメに登場する老賢者みたいなおばあさんですね。
 現在の記憶をすべて消去して、別な時代の地球に行くかどうか、弥生はとてもつらい選択を迫られます。そして、ついにまだ緑が残る惑星地球に生まれ変わることを決心する。ここで鳥の目で見る地球の姿が非常に美しい文章で綴(つづ)られています。青い緑豊かな地球のみずみずしさを改めて思います。そしてトキとの別れも本当に感動的です。人間がこの世に生まれることの一番深い意味を伝えています。
 そして地球への転生、………と思ったら、キーン コーン カーン コーンと鐘の音。
 物語は突然、最初の部分に戻っていくのですが、最初に読んだときとはまるで印象が違う。同じ文章なのに。すべてが愛しく、大切で、抱きしめたくなるように感じられる。この物語がどんなに強い力を持っているかわかります。ぼくは本当に心を動かされました。

 応募いただいた皆さん、これからも、次々と素晴らしい物語を書きつづけてください。そして書きあがったものは鳥影社までお送りください。楽しみにしています。

 はやしたかし

第二回はやしたかし童話大賞結果(07年 6月締切)

新涼の候、ますますご清祥のこととお慶び申し上げます。
第二回はやしたかし童話大賞にすばらしい力作をお寄せいただきまして厚く御礼申し上げます。
今回もご応募いただいたほとんど全ての方にははやし先生より作品の感想やメッセージを直接お送りいたしました。
第二回はやしたかし童話大賞の審査結果につきましては、以下の通りご報告させていただきます。

佳作(賞金2万円)「空の王様と海の王様」 有倉 芳
佳作(賞金2万円)「フレアの花」     岩村留美子      (敬称略)

選評
「作家の第一条件は、自らを作家と自負する」ことから始まると、私は考えます。それからできるだけ、大きなテーマに取り組み、簡素にあっさりとストーリーを展開してゆく――
今回も一次を通過した10本あまりの作品の甲乙はつけがたいが意欲と将来性に富んだお二方を佳作に選出しました。
毎日、NHKの連続ドラマ(2本ともに15分)を必見して、ストーリー展開やセリフの妙を学ぶのも一法ではないでしょうか。」

【第一次選考通過作品著者名】

          阿 空
          有倉 芳
          いとう ばく
          岩村 留美子
          風越 みなと
          酒井 伸子
          白木 晶子
          辻本 智江
          友野 響子
          梨場 貞人
          ユウイチ
          横山 美智子                  (アイウエオ順)

第一回はやしたかし童話大賞結果(06年12月締切)
選考委員 はやしたかし

大賞受賞作 賞金20万円「風になった覚さん」 久木田雅之
佳作    賞金2万  「さよならは炭酸ソーダのように」 相馬明美

選評
 ひとりひとり、応募者に個性があり、秀作、力作が多かった。大賞受賞作は、実在した人
物を描くノンフィクションに近い作品だったが、B29のような爆撃機が汚してしまった大空
を、青く静かな平和の空を取り戻すべく、ピュアグライダーに生涯を捧げた男「風になった
覚さん」に贈ることになった。
 佳作には「さよならは炭酸ソーダのように」の相馬さんに。難病と闘いつつ、創作に取り
組む姿勢に心打たれた。今後の大成を期待したい。

*大賞受賞作「風になった覚さん」は弊社より4月発売予定です。06年6月締切分は応募
者が少なく、 12月締切分と一緒に審査させていただきました。なお、ほとんどの応募者の
方に、はやし先生より作品についての直筆の感想をお送りいたしました。

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