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古田織部の芸術が詰まった「織部焼」
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才気あふれた天下の茶人・古田織部が生み出した「織部焼」

戦国時代から江戸時代の初期まで活躍した古田織部

古田織部は武将でありながら大名でもあり、さらに茶人としても有名でした。
千利休の高弟で「利休七哲」の一人とされる古田織部で、利休死後の世で
「天下の茶人」と称されるほどの腕前だったと言われています。
芸術の分野でも優れた才能を発揮していた古田織部は、織部焼という茶器を多く作り上げたと言われています。
今回はこの織部焼についてまとめてみました。

古田織部の芸術

織部焼を語るにあたって古田織部の芸術性を語らないわけにはいきません。

古田織部の師・千利休の「人と違うことをしろ」 という教えを忠実に守った古田織部の芸術性は千利休の対極にあると
言えます。
千利休は今でも日本古来の美意識とされる侘びを芸術の域にまで高めたとされ、その内容は静かで奥ゆかしい芸術性を
持っていました。

古田織部は師である千利休と真逆で、大胆・奇抜なものを好み、一つの流派に育て上げたのです。

古田織部の芸術が詰まった「織部焼」


「我が国において茶の湯の祖は千利休、作陶の祖は古田織部なり」と謳われるほど、古田織部の作り出した織部焼は一世を風靡しました。

織部焼にはもちろん古田織部の芸術性が組み込まれています。
中国南方から持ち込まれた交趾焼を元としている織部焼は、その以前まで評価されていた左右対称で形が整ったものとは大きく異なり、 左右非対称であることを重要視しています。

わざと形をいびつにしたり、完成品をわざと壊してつなぎ合わせて作るなど、それまでの手法とは大きく異なった美の表現法だと言えます。

このアンバランスな部分に美を見出すこの芸術を「織部好み」と呼ばれ、
一大流行を生み出したとされています。

織部焼の特徴

久野治氏著 『千利休より古田織部へ』
www.choeisha.com/rikyukaraoribe.html

織部焼には、織部黒・黒織部、赤織部、青織部、志野織部と色の種類が多数ありますが、
そのなかでも緑の青織部が最も有名。



織部黒・黒織部は茶碗、それ以外の織部焼は食器類に分類されるものがほとんどです。
形は織部好みの歪んでいるものが多く、文様は市松模様・幾何学模様・扇子などをかたどったデザインのものなどが特徴。大量生産にも関わらず同じ模様の物はなく、作陶姿勢の高さがうかがえます。


古田織部の芸術で表す「不完全さ」は過去に生産された物なのですが、現代に生きる多くの方の心を打つ作品で、
普段陶器や芸術に興味がない方にもオススメです。
織部焼の魅力は筆舌に尽くしがたいため、ぜひご自分の目でご覧になってはいかがでしょうか。

織部焼や織部の芸術性に興味がある方は以下の本をオススメします。