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結構多い? アラビア語を母国語とする国々

結構多い? アラビア語を母国語とする国々

アラビア語を話す国は、イランやイラク、アラビア半島など中近東諸国に多いというイメージが一般的ですね。

アラビア語はペルシャ語など周辺の国々の言語に大きな影響を与えています。
それが唯一の公用語であったり、公用語の一つであったりとさまざまです。

それでは、アラビア語を母国語・公用語として話す国はどのくらいあるのでしょうか?

アラビア語を話す国々

アラビア語を話す総人口はおよそ3億8000万人に上り、数多い国の中から人口の多い5ヶ国を抜粋すると次のようになります。

エジプト:8642万人
スーダン:4393万人
アルジェリア:3699万人
モロッコ:3220万人
イラク:3123万人

他にも、サウジアラビアやシリア、イスラエル、アラブ首長国連邦などがあります。

アラビア語はイスラム世界の共通語

アラブ人の言語であるアラビア語は、イスラム教の経典「コーラン」にも使われています。
イスラム教では、アラビア語で書かれた「コーラン」を神の言葉と神聖化し、他の言語に翻訳することを禁止しています。

そのため、現在でもコーランを他言語に翻訳した書物は存在せず、合わせて読む“注釈書”と共にイスラム教が現在でも広まっているのです。

イスラム教は預言者・ムハンマドによる統一やその後の侵攻によって各地に浸透していき、750年頃には西はモロッコ、東はトルコやアフガニスタンにまで広まります。
イスラム教と共にコーランも広まり、コーランの原文で使われるアラビア語もそれぞれの地域に浸透していきました。

アラビア語の特徴

アラビア語は文語であるフスハーと口語であるアーンミーヤがあり、アーンミーヤは各地の方言が強くあるためコミュニケーションが取れないことがあります。

また、正字法もフスハーにしか存在しないため、異なるアーンミーヤを話す人が理解するためにはフスハーが活用されるのです。

エジプトにおけるアラビア語

アラビア語を話す国で最も人口の多いエジプト。
かつて古代エジプトでは、独自の言語であるエジプト語やそれより派生したコプト語などを使用していました。

しかしイスラムの支配下になったことでアラビア語が行政の主流となり、エジプト人はバイリンガルにならざるを得ませんでした。

次第に従来のエジプト語・コプト語とアラビア語が融合していきます。
エジプト訛りのアラビア語として浸透し、エジプトの標準語として話されています。

スーダンにおけるアラビア語

現在のスーダンでは、アラビア語スーダン方言と英語が公用語とされています。
この背景には4世紀のキリスト教支配と、16世紀から始まるイスラム教による支配が大きく関係していると考えられます。
そして、2005年の憲法ではアラビア語スーダン方言と英語が公用語と定められました。

アラビア語を公用語とする国際機関

アラビア語を母国語とする国で紹介しましたが、アラビア語は多くの国で話されているため、国際連合・アラブ連盟・イスラム協力機構・アフリカ連合といった国際機関で公用語の一つとされています。
このことからアラビア語は大きな影響力を持つ言語であると言えます。
『現代日本語アラビア語辞典』

『現代日本語アラビア語辞典』
著者 田中博一/監修 スバイハット レイス

アラブ人との学習会から生まれた辞典。
アラビア語を学ぶ日本人だけでなく、日本語を学ぶアラブ人のどちらでも使えるように作られている親切な辞書です。
語句だけでなく例文も豊富なので、アラビア語や中近東の文化に興味を持った方や旅行に行かれる方は是非1冊持ってみてはいかがでしょうか?
『現代アラビア語辞典 アラビア語—日本語』

『現代アラビア語辞典 アラビア語—日本語』
著者 田中博一/監修 スバイハット レイス

上記の辞典の兄弟本。
アラビア語学習初期においては、語根を把握することに困難です。本書はこの語根主義のアラビア語辞典が使用可能になるまでの過渡的使用を目的とするもので、本書による見出し語は『المعجم الوسيط المدرسي 』(アラブ人学生用辞典)と同様にアルファベット順に配列しています。見出し語数は約一万語収録。ほかに例文・熟語を多数収録していますので、アラビア語新聞・雑誌などを理解するのに十分な語彙数です。