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「最初の一行目」で読者を惹きつけるには

「最初の一行目」で読者を惹きつけるには
「吾輩は猫である。名前はまだ無い。」
『吾輩は猫である』夏目漱石

「国境の長いトンネルを抜けると雪国であった。」
『雪国』川端康成

有名な本の最初の一行目は、印象に残るものが多いです。
この二つの作品は、意外な出来事を冒頭にもってくることで読者に興味を抱かせています。

このように原稿を書くうえで、最初の一行は肝心です。
どのような最初の一行であれば、読者を惹きつけることができるのでしょうか。

重要な情報を最初に

重要な情報を最初に
例えばデートの待ち合わせで遅刻しそうな時、メールなどで遅刻の理由を最初から説明する人は少ないですよね。

まず「ごめん、10分遅れる」「先に行ってて、間に合わない」と
いう文から始まり、その後のやりとりの中で「電車が遅れている」「電車に乗り過ごした」「寝坊した」といった理由が出てくる
ケースが多いです。

このように私たちは日常的に「間に合わない」という重要な点から話を始めている傾向があります。


本でもこのように重要なことから伝えることで、「間に合わない理由」や「これからどこに行くのか」といった疑問を持たせることができます。

原稿の書き手側からすると、登場人物の性格や世界観などを早く読者に伝えたいと考えます。
しかし読者としたら、本の冒頭でいきなり大量の情報を渡されてもどうしたらよいか分からず混乱してしまいます。

ただし注意すべきは、冒頭で「一番の重要事項」を出してしまってはいけない、ということです。
あくまでも読者を惹きつけるためのものであることを意識しましょう。

時系列通りにしない

時系列通りにしない
ミステリーでは「まず死体を転がせ」という言葉があります。
衝撃的なシーンをもってきて読者を惹きつけるだけでなく、主人公がどう行動するか、といった興味を引き起こすことができます。

しかし原稿の最初の一行で事件が起こっているからといって、事件が必ずしも時系列上の最初とは限りません。
第一の事件に繋がるためには、それまでのいきさつがあります。

ただし、いきさつをダラダラと冒頭から書いてしまっては、読者は最後まで読んでくれません。

原稿を書くときは、読者を惹きつける最初の一行が肝心です。
説明文のように長くなりすぎず、かといって簡潔になりすぎないことが必要です。
ぜひ原稿を書くときは、最初の一行にこだわってみて下さい。

【原稿募集】はこちらから
www.choeisha.com/pub/
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